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時計
ぐるぐる回る、
回りながら気絶しそうになる
ぐるぐる回る
空もなにもかも、オレンジじみた真っ赤っか
耳の長いロバが
「君はもう、どうしようもないね」って
回る私にいいやがった
私は泣きそうになりながら笑ってた
「そうやって回っているがいいさ」呆れた顔でロバが去った
真っ白い月が、汚れてく
橙とだいだいと、ダイダイで、汚れてく
ねずみが来て私の耳をかじった、きれいな音がした
かじじ
「まずいですね、これがあなたですか」
私が手で払いのけると、ねずみはきゃっと言って去っていった
ぐるぐる回る
やがて景色がバターになるだろ
柔らかく濃いバターになるだろ
バターをつけて食べるだろう
誰かが私を食べるだろう
私の手、足、耳、まぶた、全部全部消えるまで
私はここで回ってる
かばが来た、かばは私をじっと見た
私は助けてなんて言えないようにできているから、
何も言わずに回ってた
白鳥が来た、長いまつげをしばたいた
私の手足にそっと触った
ぐるぐる回る
かばと白鳥は微笑みあい、その耳とくちばしをくっつけた
かばは笑って鳥になった
汚れた白鳥になった
ああ、きっとこれもバターになる
助けなど求めない、ただぐるぐる回ってる
汚い帽子をかぶった「いえなきこ」がきた
大人だった、汚れた大人だ、ぐるぐる、ぐるぐる
大人は私の足に腰かけて、しみじみ空を見た
私は
やっと
止まったよ
「あ、時計とまったよ」
大人の中の、手の平の中の、ちいさな生き物がゆった
「これはもうすぐ廃棄されるから、とまってもいいのさ」
大人はしみじみ空を見ている
しみじみ小さな生物が私を見る
オレンジ色の月が、ただきれいに輝いていた
あたりは一面草原だった
かばも
鳥も
ねずみも
ロバも
なにもなかった
青い青い草原だった
(端の方に森が見えるあれはなんて名前なの)
私ははじめてするように
息を、
息を深く、深く、深く
ぼーーーーーーん
ぼーーーーーーーーーーーーん
ぼーーーーーーーーーーーーーーーーーん
「時計、死んだよ」
「死んだか」
「目が回るって泣いてたよ」
「もう泣いてないだろ」
「泣いてないね」
「3時か」
朝にはまだ少し、時間があった。
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回りながら気絶しそうになる
ぐるぐる回る
空もなにもかも、オレンジじみた真っ赤っか
耳の長いロバが
「君はもう、どうしようもないね」って
回る私にいいやがった
私は泣きそうになりながら笑ってた
「そうやって回っているがいいさ」呆れた顔でロバが去った
真っ白い月が、汚れてく
橙とだいだいと、ダイダイで、汚れてく
ねずみが来て私の耳をかじった、きれいな音がした
かじじ
「まずいですね、これがあなたですか」
私が手で払いのけると、ねずみはきゃっと言って去っていった
ぐるぐる回る
やがて景色がバターになるだろ
柔らかく濃いバターになるだろ
バターをつけて食べるだろう
誰かが私を食べるだろう
私の手、足、耳、まぶた、全部全部消えるまで
私はここで回ってる
かばが来た、かばは私をじっと見た
私は助けてなんて言えないようにできているから、
何も言わずに回ってた
白鳥が来た、長いまつげをしばたいた
私の手足にそっと触った
ぐるぐる回る
かばと白鳥は微笑みあい、その耳とくちばしをくっつけた
かばは笑って鳥になった
汚れた白鳥になった
ああ、きっとこれもバターになる
助けなど求めない、ただぐるぐる回ってる
汚い帽子をかぶった「いえなきこ」がきた
大人だった、汚れた大人だ、ぐるぐる、ぐるぐる
大人は私の足に腰かけて、しみじみ空を見た
私は
やっと
止まったよ
「あ、時計とまったよ」
大人の中の、手の平の中の、ちいさな生き物がゆった
「これはもうすぐ廃棄されるから、とまってもいいのさ」
大人はしみじみ空を見ている
しみじみ小さな生物が私を見る
オレンジ色の月が、ただきれいに輝いていた
あたりは一面草原だった
かばも
鳥も
ねずみも
ロバも
なにもなかった
青い青い草原だった
(端の方に森が見えるあれはなんて名前なの)
私ははじめてするように
息を、
息を深く、深く、深く
ぼーーーーーーん
ぼーーーーーーーーーーーーん
ぼーーーーーーーーーーーーーーーーーん
「時計、死んだよ」
「死んだか」
「目が回るって泣いてたよ」
「もう泣いてないだろ」
「泣いてないね」
「3時か」
朝にはまだ少し、時間があった。