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くじら
ときっときっと音がする
暗いくらい音がする
貴方の心臓
あたしの心臓
どちらも、ゆっくり流れてる
空にはとが飛んでいた
あたしは貴方とであった
貴方は巨大な鯨だった
貴方、言ったわね
あたしに言ったわね
あたしがこんにちわってせっかく、かわいく言ったのに
君は餌になるかい それとも恋人になるかい
あたし、別に餌になっても良かったのよ
鳥が空を飛んでくように
貴方も海を飛んでいった
あたしは恋人になったので
貴方の背中で日光浴をしていた
一糸マトワヌその姿で
あたしが貴方の背中をなでたら、
あなたはふうっとため息をついたわ
僕を怒っているだろうね
怒る?どうして
だって本当は僕は君を食べることなんてできやしないんだ
餌になるといえば、君は逃げられたんだよ
あたしは微笑みながら、貴方の背中に体を押し付けた
夏の陽射しに温められた貴方の背中はフライパンみたいで
きれいに黒光りしていたね
あたしはね、望んで恋人になったのよ、だから気にしなくて良いわ
そうかい
そうよ
貴方は海の中をゆうっくりっともぐった
泡がこぽぽ、と立ち上って
きれいな円を描いて消えた
あたしのくれない色の髪を、魚たちがもてあそぶ
空より青いだろう
貴方が物憂げに言った
そうね、でも寂しいわ
どうして
君の周りには海があって、魚があるじゃあないか
ちっとも寂しくないだろう
寂しいわ、だって・・・
あんまりにも周りに全てがありすぎるから
海から見た太陽は波にゆれて白銀に光っていた
鯨の背中は塩辛い海で適度に冷えて、熱かった皮も次第におさまっていった
あなたは笑って唄ったわね
そらのとり
てんのつき
かなしげに
ゆめをみる
るーるーるーるー
るーるーるーるー
あたしはなんだか涙が出てきて、ゆっくりと、まぶたを閉じた
貴方の背骨、あたしの背骨
大きさがとても違うわね
骨の先まで音が走る
ねぇ?
うん?
海が滅んでも、こおして貴方は生きているのかしら
僕が滅んでも、こおして君は生きているのかい
おおーいと、海のそこから誰かが呼んだ
貴方の名前が声になって口ずさまれている
あやぶみ、あやぶみ、あやややや
どうしたい?
あなたはなんでも無いように言った。
ええ、この世に大変なことなどナニモ無い
こっからさきは、鯨の世界だぞぉおお・・・・・
あたしは恐くなって貴方の背中にしがみついた
ごめんなさい、
あたしは行っちゃいけないのね
そんなことない、だって君も鯨だろう
唐突に、あたしはこの鯨をだましていることに気がついた
だます気は無かったのだけど、
鯨はあたしが鯨だと思ってる・・・
違うわ・・・あたしは人間なのよ
そうなのかい
別段大変なことなど何一つ無いように鯨はつぶやいた
そしたら餌が違うなぁ、それは困ったかもしれないなぁ
ねぇ、おろして
鯨の世界の門は目前に迫っていた
あたしを許すまいと、青、青、青の鯨達が門の前で連なっている
おろして、あたしはあそこに行けないわ
大丈夫さ・・・気にするな
何事も、うまく行く
鯨が何を言っているのかわからなかった
海の水にしょっぱい衝撃が来て、あたし達は鯨の群に入っていった
それはにんげんじゃあないか
そんなものを
どうしてここに
いれるんだい
鯨達が口口に叫ぶ
あたしは謝ろうと思って耳をふさいだ
その前に、貴方が言ったわね
どうするーもこうするーも、
この子は僕の奥さんなんだ、
いじめちゃだめだよ
奥さん?
奥さんにするのかい
鯨達のささやきをあたしはうっとり聞いていたわね
空は遠くに澄んでいて
ゆらゆらゆらゆら揺らめいてたわね
あたしはそうして貴方の奥さんに
あなたはそうして私のだんなに
なったわね
なったわね
鯨達が鳴いて祝福したわよね
遠い空に鯨の遠吠え
月は冴えて花嫁映す
私、後悔一つもしてないわ
人を捨てて、こうして鯨になった今でも
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暗いくらい音がする
貴方の心臓
あたしの心臓
どちらも、ゆっくり流れてる
空にはとが飛んでいた
あたしは貴方とであった
貴方は巨大な鯨だった
貴方、言ったわね
あたしに言ったわね
あたしがこんにちわってせっかく、かわいく言ったのに
君は餌になるかい それとも恋人になるかい
あたし、別に餌になっても良かったのよ
鳥が空を飛んでくように
貴方も海を飛んでいった
あたしは恋人になったので
貴方の背中で日光浴をしていた
一糸マトワヌその姿で
あたしが貴方の背中をなでたら、
あなたはふうっとため息をついたわ
僕を怒っているだろうね
怒る?どうして
だって本当は僕は君を食べることなんてできやしないんだ
餌になるといえば、君は逃げられたんだよ
あたしは微笑みながら、貴方の背中に体を押し付けた
夏の陽射しに温められた貴方の背中はフライパンみたいで
きれいに黒光りしていたね
あたしはね、望んで恋人になったのよ、だから気にしなくて良いわ
そうかい
そうよ
貴方は海の中をゆうっくりっともぐった
泡がこぽぽ、と立ち上って
きれいな円を描いて消えた
あたしのくれない色の髪を、魚たちがもてあそぶ
空より青いだろう
貴方が物憂げに言った
そうね、でも寂しいわ
どうして
君の周りには海があって、魚があるじゃあないか
ちっとも寂しくないだろう
寂しいわ、だって・・・
あんまりにも周りに全てがありすぎるから
海から見た太陽は波にゆれて白銀に光っていた
鯨の背中は塩辛い海で適度に冷えて、熱かった皮も次第におさまっていった
あなたは笑って唄ったわね
そらのとり
てんのつき
かなしげに
ゆめをみる
るーるーるーるー
るーるーるーるー
あたしはなんだか涙が出てきて、ゆっくりと、まぶたを閉じた
貴方の背骨、あたしの背骨
大きさがとても違うわね
骨の先まで音が走る
ねぇ?
うん?
海が滅んでも、こおして貴方は生きているのかしら
僕が滅んでも、こおして君は生きているのかい
おおーいと、海のそこから誰かが呼んだ
貴方の名前が声になって口ずさまれている
あやぶみ、あやぶみ、あやややや
どうしたい?
あなたはなんでも無いように言った。
ええ、この世に大変なことなどナニモ無い
こっからさきは、鯨の世界だぞぉおお・・・・・
あたしは恐くなって貴方の背中にしがみついた
ごめんなさい、
あたしは行っちゃいけないのね
そんなことない、だって君も鯨だろう
唐突に、あたしはこの鯨をだましていることに気がついた
だます気は無かったのだけど、
鯨はあたしが鯨だと思ってる・・・
違うわ・・・あたしは人間なのよ
そうなのかい
別段大変なことなど何一つ無いように鯨はつぶやいた
そしたら餌が違うなぁ、それは困ったかもしれないなぁ
ねぇ、おろして
鯨の世界の門は目前に迫っていた
あたしを許すまいと、青、青、青の鯨達が門の前で連なっている
おろして、あたしはあそこに行けないわ
大丈夫さ・・・気にするな
何事も、うまく行く
鯨が何を言っているのかわからなかった
海の水にしょっぱい衝撃が来て、あたし達は鯨の群に入っていった
それはにんげんじゃあないか
そんなものを
どうしてここに
いれるんだい
鯨達が口口に叫ぶ
あたしは謝ろうと思って耳をふさいだ
その前に、貴方が言ったわね
どうするーもこうするーも、
この子は僕の奥さんなんだ、
いじめちゃだめだよ
奥さん?
奥さんにするのかい
鯨達のささやきをあたしはうっとり聞いていたわね
空は遠くに澄んでいて
ゆらゆらゆらゆら揺らめいてたわね
あたしはそうして貴方の奥さんに
あなたはそうして私のだんなに
なったわね
なったわね
鯨達が鳴いて祝福したわよね
遠い空に鯨の遠吠え
月は冴えて花嫁映す
私、後悔一つもしてないわ
人を捨てて、こうして鯨になった今でも